退去費用の時効ガイド

敷金返還請求権の消滅時効と、過去の退去費用を取り戻せる可能性について解説します。

敷金返還請求権の時効は5年

敷金返還請求権の消滅時効は5年です。これは民法166条1項(債権の消滅時効)に基づいています。

2020年4月1日に施行された改正民法では、敷金についての規定(民法622条の2)が新設され、賃貸借契約が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたとき(明渡完了時)に、敷金から原状回復費用を控除した残額を返還する義務が明文化されました。

法的根拠

  • 民法166条1項:債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき消滅する
  • 民法622条の2:賃貸借終了+返還時に、賃貸人は敷金から債務額を控除した残額を返還しなければならない

起算点は明渡完了日(鍵返却日)

時効の起算点は、賃貸物件の明渡完了日、つまり鍵を返却した日です。退去日(引っ越し日)ではなく、管理会社に鍵を返した日が起算点となります。

例えば、2022年4月1日に鍵を返却した場合、敷金返還請求権の時効は2027年3月31日までとなります。

注意:鍵を返却した日の記録(メール、写真、引渡書など)を保管しておくことをお勧めします。時効の起算点を証明するために必要になることがあります。

2020年3月以前の退去は旧法10年

2020年3月31日以前に退去(明渡完了)した場合は、旧民法が適用され、消滅時効は10年となります。

つまり、2016年4月以降に退去した方であれば、まだ時効が完成していない可能性があります。

退去時期適用法時効期間
2020年4月1日以降新民法5年
2020年3月31日以前旧民法10年

過去の退去費用も取り戻せる可能性がある

「もう退去してしまったから」と諦める必要はありません。時効が完成していなければ、過去に支払った退去費用について返還を求めることができます。

具体的には、以下の流れで進めることができます。

1

当時の請求書・明細書を用意する

2

各項目をガイドライン基準と比較し、差額を計算する

3

差額がある場合、元の管理会社・大家に返還を書面で請求する

4

応じない場合は、消費者センターや少額訴訟を検討する

時効の完成猶予(中断)

時効が間近に迫っている場合でも、以下の方法で時効の完成を猶予(旧法では「中断」)させることができます。

  • 内容証明郵便の送付:催告として6か月間時効の完成を猶予できます(民法150条)
  • 裁判上の請求:訴訟の提起により時効は更新されます(民法147条)
  • 相手方の承認:管理会社や大家が債務を承認した場合、時効は更新されます

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免責事項:本記事は国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の一般的な基準に基づく情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案については、弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

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